10月18日会員向けオンライン勉強会「IBM量子コンピューターの最新動向」を開催しました。
勉強会ではIBM, Google, Microsoft, Intelなど大手IT企業が競って積極的な投資や大々的なキャンペーンを繰り広げている「量子コンピューター」に焦点を当てました。
講師には日本IBMで量子コンピューターのビジネス活用面などを担当している渡辺日出雄様にIBMの量子コンピューターへの最新の取り組みについて話をして頂きました。
講演では、「IBM RESERCHとFUTURE COMPUTER」「量子計算の歴史と2のN乗のパワー」「量子コンピューティングの研究コミュニティ - IBM Quantum Network」「ビジネス活用に向けた研究動向」などIBMの長年にわたる世界的で戦略的な量子コンピューターへの取り組みが紹介されました。
参加者からは次のようなコメントや質問が寄せられました。
「1970年代に米国IBMで基礎技術の取組の話でこのテーマを聞いたがそれが実現されつつあり興味深い」
「長年にわたるIBMの量子コンピューターへの取り組みが良く理解でき、同社の戦略性を改めて認識した」
「量子コンピューターは単独では使いこなせず現在のコンピューターとの役割分担が必要では」
「金融のユースケースではモンテカルロが主体のようだが、最も対応が重要なリスク管理も対象か?」
→(講師)「裏側にはモンテカルロがあるのでデリバティブのレーティングやポートフォリオ・アナリシスが対象となる」
「量子コンピューターは、スパコンの流れを継ぐものと言えるか?」
→(講師)「スパコン(従来型のハイエンドコンピューター)で行っていたテーマに取り組んでいる。
二乗加速といって、スパコンで9時間を要する処理を同じ時間で3つ出来るようになる」
「伝統的なコンピューターは、CPUのスピードやチップの数などアドバンテージとなる要素がわかりやすい。量子コンピューターの場合、何がテクノロジーのアドバンテージか?」
→(講師)「次の三点。
①スケール(量子ビットの数):現在は127。数を増やすと、クロストークと言ってキュービットに干渉が生じるので微妙な調整が必要となる。キュービットの配置も重要。
②エラー率の低さ:チップ自身のデザインに加えて様々な要素が関係する。量子コンピューターの性能指標としては『カンタム・ボリューム』というものがある。
③クロックス:単位時間当たりの実行可能な量子回路数」